*当サイトはプロモーションを含みます
いまも昔もヒトの考えることって実はあんまり変わらない。
日本舞踊のストーリーを読み解いて、そこに登場するキャラクターたちの現代にも通じる想いをお伝え
していきたいと思います。
もしかしたら、あなたの悩みを解決するヒントがみつかるかも…
今回は、江戸時代伝説の彫刻師、左甚五郎(ひだり じんごろう)の不思議な恋のお話です。
|京人形
歌舞伎狂言でも日本舞踊でも人気の「箱入あやめ木偶(はこいりあやめにんぎょう)」、通称「京人形」は、
生き物を彫れば魂が宿ると言われたほどの江戸の名彫刻師、左甚五郎が傾城に一目惚れしてそっくりの人形を
彫ってみた……というお話です。
|成立
もともと名彫刻師の左甚五郎が一目惚れして傾城のお山人形を掘るというお話は、慶応年間(1648-1652年)に
開業した京都の版元、八文字屋の浮世草紙にも登場しています。ちなみに、「お山人形」とは女性の姿をした
人形の総称です。江戸時代初期に活躍した人形遣いの小山次郎三郎が女形の人形遣いが巧みだったことから、
その名をとって女性の人形を「小山人形」や「お山人形」と呼ぶようになったといわれています。
「京人形」の初演は、1843年5月江戸市村座の「艶菖蒲木偶(ゆるしのいろ あやめにんぎょう)」とされて
いますが、1847年5月江戸河原崎座で四世中村歌右衛門が演じた八変化舞踊「時翫雛浅草八景(しきのひな
あさくさはっけい)」のなかの「お山人形」がよく似ているので、これを初演とする説もあります。
作詞は三世桜田治助、作曲は四世岸沢式佐です。初演の際は、二世杵屋勝五郎作曲の長唄を掛け合いでした。
現在の「京人形」は、これらの所作事をもとに、河竹黙阿弥が改作した、1860年3月江戸市村座が初演の
「拙腕左彫物(およばぬうでのひだりほりもの)」が基本になっています。
物語の変化に伴って、左甚五郎が彫る人形も遊女梅が枝から小車太夫へと変わっています。
|あらすじ~前半
腕のいい彫物師の左甚五郎は、廓で見かけた傾城の小車太夫に一目惚れし、その美しさにすっかり虜になって
しまいます。そこで、甚五郎は魂を込めて太夫にそっくりの人形を彫り上げます。あまりの出来の良さに、
甚五郎はその人形を太夫に見立てて、物分かりの良い妻のおとくが仲居の役となり、人形を相手に酒を飲み
はじめます。おとくが奥へ引っ込み、甚五郎が美しい人形を眺めながら気分よく飲んでいると不思議なことに、
ちょっと目を離した隙に人形が箱から出てきたことに気付きます。甚五郎は、最初はおとくのイタズラと思って
いましたが、丹精込めて彫ったから魂が人形に宿ったのだと考えた甚五郎は人形と一緒に踊り出します。
ところが、甚五郎の魂が宿った人形は動きがゴツゴツしていて太夫とは似ても似つかない無骨な動きをします。
そこで、廓で小車太夫が落とした手鏡を取り出し、人形の懐に入れてみると人形はたちまち女性らしく、
小車太夫そっくりに舞いはじめます。ところが、鏡を奪うと人形は再びもとの無骨な動きに戻ってしまいます。
「鏡は女の魂」といわれるほど女性にとって重要アイテムなので鏡の働きで心が宿るのか、と合点した甚五郎は
太夫の手鏡を懐にいれた人形と甚五郎は一緒に楽しく舞い踊ります。
ボストン美術館所蔵 歌川国員作「大日本六十余州 飛騨 五代坂東否彦三郎 京人形 坂東亀蔵 甚五郎」
https://collections.mfa.org/objects/462508
|あらすじ~後半
そこへ妻のおとくが慌てた様子でやってきます。実は、この家では甚五郎が仕えるお殿様の妹、井筒姫を娘の
おみつと偽って敵から匿っていました。ところが、医者に扮した敵方の手下が小車太夫に恋煩いの甚五郎を
診察に来て、井筒姫が甚五郎に匿われていることがバレてしまいます。居場所が敵に知られてしまったと
おとくが知らせに来ると、甚五郎は人形の首を討って井筒姫の偽首として差し出して時間を稼ぎ、その間に
井筒姫を逃がそうとします。ところが、井筒姫に仕えていた奴の照平(てるへい)が勘違いして、甚五郎の家に
乗り込んできます。甚五郎が味方だとは知らず、匿っていたのを誘拐したと思い込み、甚五郎の右腕を斬り
つけてしまいます。そこへ井筒姫が現れて事情を話しますが時すでに遅く、甚五郎は仕事道具というべき右腕を
失ってしまいます。しかし甚五郎は迷わず、詫びる照平に井筒姫を託して一刻も早く逃げるよう促します。
そして甚五郎は残された左手だけで大工道具を武器に鮮やかに立ち廻り、大工に変装した手下たちを追い払う
のでした。
ボストン美術館所蔵 歌川国貞作「左り甚五郎」 初代中村福助
https://collections.mfa.org/objects/529943
|演出の変化
「京人形」は、前半の京人形の可憐な踊りと後半の甚五郎と大工に扮した敵の手下たちとの立ち廻りが見どころ
ですが、前半はさておき、後半は人形の首が討たれたり、彫刻師の甚五郎の右腕が切られたりと痛ましいと
思いませんか。そうした事情もあり、現在と昔では演出が少し変化してきています。現在は、井筒姫の身替りに
人形の首を討って差し出す場面は、唄の詞章には残っていますがカットされています。そのため、前半の京人形
のくだりと物語の繋がりがなくなってしまい、後半の展開が少し唐突な印象になってしまっています。
また、照平が甚五郎の右腕を切り落としてしまう場面は、傷を負わせるだけに変化しています。ただ、ラストの
大立ち回りの場面で、右手を負傷した甚五郎が左手だけで演じるのは変わっていません。
ただ、後半は演劇要素が強いためか日本舞踊で上演されることはほとんどありません。また、歌舞伎狂言では
「銘作左小刀(めいさくひだりこがたな)」という外題で舞踊劇として上演されています。
|最後に
いかがでしたか。
「京人形」は、ストーリーがわかりやすく、人形の所作が甚五郎の男性的な動きと艶やかな傾城の所作を手鏡の
有無で瞬時に切り替えていくところがコメディタッチで、明るく楽しめる作品です。後半の甚五郎が大工道具を
使う大立ち回りもとても面白いです。
次回は、この作品に登場する左甚五郎の謎についてお話します。
無料体験レッスンのお申し込みはこちら
https://www.miya-ds.com/trial_lesson
広報担当森川みよのブログ、Miyo no Gantenへのご意見、ご感想はこちら
https://www.miya-ds.com/blog_contact/
大田区にある日本舞踊と着物の教室、日本舞踊教室みやの公式ホームページ
https://www.miya-ds.com
美柳流の公式ホームページ
https://www.miyanagiryu.com















アイキャッチv2_Background-Removal-200x200.jpg)
アイキャッチ_Background-Removal-200x200.jpg)
アイキャッチ_Background-Removal-200x200.jpg)
アイキャッチ_Background-Removal-200x200.jpg)





