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いまも昔もヒトの考えることって実はあんまり変わらない。
日本舞踊のストーリーを読み解いて、そこに登場するキャラクターたちの
現代にも通じる想いをお伝えしていきたいと思います。
もしかしたら、あなたの悩みを解決するヒントがみつかるかも…
今回は、江戸の夏の情緒が漂う小唄「涼み舟」のお話です。
|涼み舟
日本舞踊でもよく演じられる小唄や端唄には季節の情景を描き出したものが数多くあります。
「涼み舟」は、江戸の夏の風情を思い起こさせる粋な曲です。
川面を渡る涼風、行き交う舟のざわめき、すいか売りの声….こうした生き生きとした情景が、
まるで江戸の町に迷い込んだかのような気持ちにさせてくれます。
小唄「涼み舟」が描く世界は、両国の川辺で夕涼みを楽しむ人々の姿が目に浮かぶような、
まさに江戸の夏そのものといった感じですが、実はこの曲が作られたのは昭和に入ってからのこと
でした。江戸の文化から遠く離れてしまった時代に、あえて江戸の夏を思い起こさせる情景を描いた
ところにこの曲ならではの魅力を感じます。
文化遺産オンライン 鳥居清長作 「橋下の涼み舟 」
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/511769
|春日とよ
小唄「涼み舟」を作曲した春日とよは、明治期に生まれた芸者で、イギリス人の父と日本人の母を持つ
ハーフの女性でした。浅草で芸者としてデビューしたのち、清元、長唄、常磐津などの芸を研鑽し、
小唄春日流を創流しました。
春日とよが生きた明治、大正、昭和時代は、江戸の文化が急速に薄れていった時代です。
文明開化の波の中で、人々は両極端の方向に分かれていきました。新しい時代の価値観を好み
西洋の文化や近代的な生活を積極的に受け入れた人々と、失われゆく江戸の情緒を懐かしみ
古き良き文化に心を寄せた人々です。
春日とよは、ハーフとして新しい時代の空気を吸いながら、芸者として江戸から続く芸の世界に
身を置くことで、そのどちらの感性も自然に持ち合わせていました。
その立ち位置が、小唄「涼み舟」に独特の世界観を与えているようにも感じられます。
新しいものを受け入れながらも、古いものも大切にするという2つの感性が数多くの作品を生み出し、
小唄の新境地を拓いたのです。
また、芸に磨きをかける一方で芸の継承にも力を注ぎ、1960年には紫綬褒章も授与されました。
文化遺産オンライン 鳥居清長作 「版画大川端夕涼み図」
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/127647
|最後に
いかがでしたか。
小唄「涼み舟」からは、江戸の人々の粋な夏の過ごし方が垣間見れるようです。
そこで次回は、江戸庶民の夏の過ごし方のお話です。
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