お関② ~ 大路の柳

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いまも昔もヒトの考えることって実はあんまり変わらない。
日本舞踊のストーリーを読み解いて、そこに登場するキャラクターたちの
現代にも通じる想いをお伝えしていきたいと思います。
もしかしたら、あなたの悩みを解決するヒントがみつかるかも…

今回は、樋口一葉の短編小説「十三夜」のお話です。

|樋口一葉の「月」

「大うみも 光のうちに 成りにけり 山のは出でし 秋の夜の月」

樋口一葉のこの和歌には、山から現れた秋の月が果てしない海を輝きで満たし、
世界が月の光一色に染まっていく美しい情景が描かれています。
一葉は数多くの小説や和歌を残していますが、その作品には頻繁に月が登場します。
それぞれの作品の中で月は美しさだけでなく、人の心の動きや人生を映し出す存在として
描かれているように感じられます。
こうした月への思いは、短編小説「十三夜」の中でもみることができます。

|大路の柳

1895年に発表された「十三夜」は、樋口一葉の代表作のひとつです。
作品の題名となっている「十三夜」とは、旧暦9月13日の月のことで、古来より十五夜に次ぐ
名月として親しまれてきました。
物語の終盤、主人公は大路の柳の下で幼馴染と再会し昔を懐かしみますが、結局それぞれ別の道へと
戻っていきます。

「其人は東へ、此人は南へ、大路の柳月のかげに・・・見上げる空に十三夜の月は、ただ皓々として
情なき光を放ちて、更け行く夜の寒き風に、身に沁む涙の袂を乾す間もなかりけり。」

物語はこの文章で終わります。「其人は東へ、此人は南へ」という言葉には、再び交わることのない
二人の人生が
静かに描かれているようです。

|登場人物

「十三夜」は、月光の下で交錯する、運命に抗えない人々を描いた物語です。
主人公の原田関(お関)は良家に嫁ぎ、一人息子にも恵まれますが、夫との生活に苦しみを
抱えています。
お関の夫、原田勇は社会的地位のある人物ですが、息子が生まれてからはお関に冷たくなり、
つらく当たるようになっていきます。
高坂録之助は、お関の幼馴染です。かつてはお関との縁談の話もありましたが、今は車夫として
働いています。

|あらすじ

主人公のお関は、役所勤めで裕福な名士の原田勇に見初められて結婚します。ところが、夫となった原田は、
結婚当初は優しかったのですが、息子が生まれてからはお関に冷たくなり、つらく当たり始めます。
お関は夫との不和に耐えかねて、離縁を願って実家に相談しますが、弟が夫の口利きで就職していることも
あり、父親からは耐えるほかないと諭されてしまいます。
行き場のない思いを抱えたまま実家を後にしたお関は、十三夜の月が照らす帰り道で人力車に乗ります。
そして、ふと月明かりに照らされた車夫の顔を見て、かつて慕い合った幼馴染の高坂録之助だと気付きます。
録之助は、
お関が他家に嫁いだことで生きる気力を失い、自暴自棄になって落ちぶれ、貧しい車夫として
生計を立てていました。
満ちきらない月の下で再会した二人は、結ばれることのなかった想いを胸に抱きながらも、それぞれの
境遇を受け入れます。そして、再び交わることのない人生を歩むかのように、別々の道へと戻って
いくのでした。

|最後に

いかがでしたか。
「十三夜」は、
お関と録之助の叶わなかった恋を通して、ままならない人生の哀しみを描いた作品と
いえるかもしれません。
そして、二人を静かに照らしているのが、題名にもなっている十三夜の月です。
満ちきらない月は、その不完全な形のままで、いまも私たちを見守ってくれています。

 

 

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