お関③ ~ 十三夜

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いまも昔もヒトの考えることって実はあんまり変わらない。
日本舞踊のストーリーを読み解いて、そこに登場するキャラクターたちの
現代にも通じる想いをお伝えしていきたいと思います。
もしかしたら、あなたの悩みを解決するヒントがみつかるかも…

今回は、日本人が見上げてきた十三夜のお話です。

|月の満ち欠け

夜空に浮かぶ月は毎晩姿を変えています。新月、三日月、上弦、満月、下弦へと移り、また次の新月へ
と戻ります。これは月の形が変化しているのではなく、太陽の光が当たる部分と地球から見える角度で、
私たちの目に映る姿が変わるためです。
また、月は地球の周りを回っていますが、その間に地球も太陽の周りを動いているため、満ち欠けの周期は
月の公転周期より少し長くなっています。

|お月見

秋は夜空が澄みわたり、月の姿がひときわ美しく映る季節です。
まだ灯りのなかった時代、人々は月の光を頼りに、その明るさや形の変化に心を寄せ、自然の移ろいを
感じてきました。お月見は、現在でも秋の風物詩として親しまれ、月が美しく見えるこの季節には
お月見団子や名月にちなんだ商品が数多く並びます。

|中秋節

十五夜のお月見は、中華三大節のひとつ「中秋節」に由来するといわれ、古来より中国では「春節」や
「清明節」と並ぶ重要な伝統行事として位置づけられてきました。
中秋節は、旧暦8月15日の夜に美しい満月を眺める風習です。中国では古くから家族の団らんを大切にする日と
され、離れて暮らす家族もこの日は実家に集まります。そうして、満月を模した丸い「月餅」を家族全員で
切り分けて食べたり、親戚や友人、お世話になった人への感謝の気持ちやお互いの家族の幸せを願って
贈り合ったりして過ごします。

 

|もうひとつの月

やがてこの風習は日本に伝わり、月を愛でる行事として平安貴族の間で広まりました。貴族たちは満月の夜に
酒を酌み交わし、庭園の池に浮かべた舟で詩歌を詠んだり、雅楽の調べに身を委ねたりして、風流で雅やかな
宴を催しました。
そうした中で、月をただ見上げるだけではなく、水面や盃に浮かんだ「もうひとつの月」を愛でるという感性が
生まれました。それは当時の貴族たちが好んだ優雅な遊び心で、洗練された美意識のあらわれでもありました。
そして、それが「月は空にも心にも宿る」という日本ならではの美意識へと受け継がれていきます。
このような月を愛でる文化の中で、「十五夜」に続くもうひとつの名月として「十三夜」が親しまれるように
なっていきます。十五夜ほど満ちきらず、少し欠けて夜空に浮かぶ十三夜は、その控えめな姿にこそ趣がある
とされ、
日本独自の風習として広まっていきました。

|三月見

十五夜と十三夜を合わせて「二夜の月」と呼びます。どちらか一方しか見ないことを「片月見」や「片見月」
といって好ましくないとされていました。また、稲刈りが終わるころの十日夜を加えて「三月見」といい、
3日間お天気に恵まれてお月見ができると縁起が良いと言われています。
かつて月は人々にとって今よりもずっと身近な存在で、
農作業の時期を知る手がかりや季節の移ろいを
感じる目安にもなっていました。
旧暦では月の満ち欠けによって日付が決められていたため、人々は自然に
月を意識して暮らしていました。
そのため、名月には収穫物にちなんだ別名があり、里芋の収穫期にあたる
十五夜は「芋名月」、大豆や枝豆、栗の実りの時期と重なる十三夜は「豆名月」や「栗名月」とも呼ばれます。

|最後に

いかがでしたか。
日本人は、満開の桜だけでなく散りゆく桜を愛でるように、満月だけでなく、その満ちきらない姿にも
美しさを見出してきました。樋口一葉の「十三夜」では、満ちきらない月と物語の切ない余韻が重なる
ように感じられます。
今宵はどんな月が見えますか。

 

 

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